行政運営に当たり地域住民との良好な関係の下、信頼のある施策を進めていくことを求める決議
江田島市では、平成21年6月、江田島市学校統合検討委員会から、市内四つの小中学校の統合について答申を受け、このうち、三高中学校は、能美中学校の新校舎建設の時期を目途に能美中学校へ統合する方針が示された。
この答申の中には、「保護者、地域住民の理解と協力を得ながら、実施に向けて努力されたい。」とあることから、市教育委員会は統合に向けて、地元関係者と協議を重ねてきたが、統合反対等の意見が根強くあり、本日まで合意を得られていない。
そうした中、これまでの学校統合の際には、地元合意を得ながら進めてきたにもかかわらず、本年2月に開会の令和6年第1回市議会定例会において、令和7年4月から三高中学校を能美中学校に統合する内容の「江田島市立学校設置条例の一部を改正する条例案」が提出された。
市議会では、この条例案を総務文教常任委員会に付託した後、委員会では、当事者等の意見を踏まえて慎重に審議するため、地元PTA役員や自治会等を参考人招致し意見聴取を行ったものである。
そこで明らかにされたのは、「いじめや不登校、通学や学力に関する不安や不満の解消がなされなかったこと。」、「統合までの準備期間が1年しかなく、説明で聞かされてきた2年よりも短いこと。」、「前市長時代に示された方向性とは異なり、現市長体制下で耐震補強工事が実施されなかったこと。」など、地元関係者の積年の鬱積した思いである。
今回の三高中学校統合問題が長期化及び複雑化したことの大きな原因は、お互いの認識や解釈、意見や行動に食い違いが生じ、地元関係者との信頼関係が損なわれたことにある。一方で、議会としても、本件が長期化する前に積極的に関わる姿勢を示せなかったことは反省しなければならない。
今後は市議会として市政の難題に積極的に関与する姿勢を持つことはもちろんのこと、市執行機関は、今回の事案を猛省し、また教訓とし、今後、地域住民との良好な関係を下に信頼のある行政運営を行うために、次の事項の実施について、強く要望する。
1 地元自治会及び保護者の意見を真摯に受け止め、統合の実施に際しては十分な説明と理解を求める努力を継続すること。
2 統合に関する生徒や保護者の不安や懸念に対して、具体的な対応策を提示し、信頼関係を再構築すること。
3 教育環境の整備や通学手段の確保など、学校統合に向けて必要な準備を十分に行い、生徒及び保護者が安心して新しい環境に移行できるよう早急に取り組むこと。
4 旧三高中学校跡地等については、地元の活性化に向けたにぎわいの拠点としての有効活用に努めること。
5 学校統合の進め方については再検証を行い、地域の分断を生じるような事態が発生しないよう、プロセスをあらかじめ広く市民に周知するとともに、将来起こりうる現実を想定し、地域関係者と早めの協議を開始すること。
6 学校統合だけでなく、地域に影響のある施設の統廃合に関しては、地元の理解を得られるよう努めること。また、行政の方針転換が行われた際には、地域住民にその理由等について丁寧に説明を行うこと。また、市議会に対しても、適宜適切に情報提供や進捗状況を報告すること。
以上決議する。
令和6年6月19日
江 田 島 市 議 会